donkihote
情緒不安定な、冴えない、ハゲたおっさん。
すこし虚言癖がある。
ロシナンテⅡ世。通称、R2。
鈍崎邦定の飼い猫。相棒。
オッドアイの白猫。
小さな森の 苔むす道を。 分け入って、 分け入って、 開かれた。 空の見える丘。
あなたの名前を囁いた。 フルネームで呼んで。 あなたに相応しい。 素敵な名前だな。と改めて思った。
眼を閉じた。 くるりと。暗闇は、回り出した。 何億光年。何京光年。向こうから。 ニュートリノの素粒子が。 感覚だけの。きっと在るだろう。僕の身体に。 降り注ぎ。突き抜けていった。
今。何かを入れておかないと駄目だ。 ただでさえ。才能も何もないのに。 そのうち。 〝からっぽ〟な物しか出せなくなる。 一種の焦りの様なものだった。
過去の記憶なんて。 扉を押したら。その途端。 セピアに焼けついていく。 一枚の写真のように。 確かに、〝在る〟ようで。 確かに、〝無い〟ものなんだ。
最近。また。 中也の言葉が。 違う角度から 違う色の輝きで 見え始めてきた。
星が散りばめられたように。 アスファルトには 砕けたガラスの破片が光っていた。 頑丈なブーツの歩を進めると。 まるで。 悲鳴を堪(こら)えるような。 嗚咽を堪(こら)えるような。 そんな小さな、えもい ...
真夏の夜の海。 星月夜を映した黒。 胎動のような波音の 揺蕩(たゆた)う。 満月への白い道。
イーゼルに向かって。 キャンパスに閉じ籠められた叫びが。 時を超えて、響く季節。 お互いに。寄り添い合って。 眺めた風景に。 なんとなく。共感してしまって。
俺は呼んでいたのに。 君の名前をずっと。 呼んでいたのに。