donkihote
情緒不安定な、冴えない、ハゲたおっさん。
すこし虚言癖がある。
ロシナンテⅡ世。通称、R2。
鈍崎邦定の飼い猫。相棒。
オッドアイの白猫。
山鳩の鳴き声の優しい響きは。 明け残る真白い半月と共に。 境目のない青白い時間を漂っていた。
その夜。 僕とR2は星を見上げて、 横になっていた。 宵闇がその深さを増す頃になると 月が近づいてきて、囁くような声で。 語り出した秘密。
優しい、その記憶は。 えもいわれぬ、懐かしい匂いを伴った。 それは。 幻のような。ひとつの物語のような。 特別な、幸せな、白昼夢。Tripだった。
明日、君に吹く風が 心地よいものでありますように。
師。 まるで。 空でも抱きしめているような。 そんな人に見えた。 その瞳(め)の色が好きだった。
鍵盤のむこうに 透けて見えたのは あの日の空だった。
手を伸ばして。 その空を 感じられる。 かけがえのない仲間だった。
すれ違う。 彼女の、 あの時の、あの感覚に。 あの空の〝痛み〟に。 未(いま)だ。 追いつけずにいる。
雷鳴は 目紛(めまぐる)しく。 変わるだろう。空を。 予感させた。
言葉(想い)は 生きてきた季節と。 見てきた景色と。 リンクしてしまうものだから。 タイパなんて言って、 盲目になってしまう人には 感じられない感覚もあるのだ、とは思う。 なにが 正解かって。きっと。 ...