星空

曇天の鈍色の空にも

曇天の鈍色の空にも

ちゃんと意味があって、

どの瞬間も

かけがえもなく、とても大切で、

だからこその明日なのだと、

僕は目線を前にやった。

街には誰にも気にかけて貰えない街灯が灯り、

急ぎ足の雑踏に色とりどりの傘の花が

ほころび始めていた。

そういえば、

彼女は雨が嫌いだと言っていた。

僕はそんな彼女と二人だけの

素敵な雨の日の思い出を

一緒に作りたいと思った。

ひとつの季節が過ぎ去ろうとしていた。



-星空