星空

満天の宙。

満天の宙。

星屑でできた砂が敷き詰められた

最果ての岸辺。

カノンのように追いかける潮騒のループ。

横たわる鯨の屍(しかばね)の

肋骨(ろっこつ)をくぐると。

老いさらばえた男がひとり。

忘れるのも〝イタミ〟なのだ、と。

打ち寄せられた、花梨(カリン)の実。

漣(さざなみ)に洗われる記憶のセピア。

さらさら。さらさら。

さらさら。さらさら。

真白い満月への、光の道が。ひとすじ。



-星空