茜空

「私は強いわよ。」

「私は強いわよ。」

静かに凛と、彼女は前を向いた。

それはつまりは。そういうことだった。

それだけで、僕には伝わった。

OK.

姿勢を正せ。呼吸を整えろ。視線を上げろ。

大丈夫。まだまだ。ここからだ。

「うん。弱気な所を見せて。気を引いてみただけ。その方が同情を得て、楽できるし。ドラマになるし。まっ。清廉潔白、クソ喰らえ。どうせ。きれいな道ばっか歩いてきた訳じゃなし。目に映るキレイだけが、決してすべてじゃない。」

「意地っ張り。」

「だから。そんなとこだよ。似過ぎてるって。」

改めて。いい女だなと思った。



-茜空