星空

国道を行き交う

国道を行き交うクルマのタイヤが

水飛沫(みずしぶき)を巻き上げて、

通りすぎていく。

僕はこれと言って目的も無く、

ぼんやりと歩道を歩いていた。

目の前の、ちいさな水溜りの平穏を

跳ね上げられた水飛沫が破って行った。

ビニール傘を握る手に力が入った。

彼女が時折見せた、

暗い瞳の色を思った。



-星空