茜空

深呼吸を忘れた日々。

深呼吸を忘れた日々。

溜まった洗濯物とおひとり様の憂鬱。

梅雨時、休日の午前。

この時期、天気予報を崇め、心酔している僕は、

ただただ無心に、

洗濯機のぐるぐるうにうにを見つめていた。

丁寧に皺を伸ばし、洗濯物を干すと、

疲れ果てていた僕は、遅い朝食も摂らずに、

ロシナンテII世とうたた寝をしてしまった。

夕方。

いつのまにか降り出した雨。

「にゃろう。」と独りごちた僕は、

台無しの洗濯物を抱え、慌てふためく。

ふと、

優しい空気に包まれていることに気づいた。

漂う雨の香り、石のエッセンス。

空を見上げる。

「ペトリコール。」

明日を運ぶ、虹の匂い。



-茜空