茜空

歯ブラシを咥えながら、

歯ブラシを咥えながら、

やけにミントを辛く感じていた。

背中では、ロシナンテII世が

自分の白い尻尾を追いかけて、

馬鹿みたいにくるくると周り続けている。

南側のはめ殺しの窓を

下弦の月が渡ろうとしている。

こんな時、『もしも…』だなんて考えて、

眠れなくなってしまう、下品な弱さが

僕にはあった。



-茜空