茜空

明け方の月。

明け方の月。

乾涸びてゆく何色かの感情。

ある程度のアンチテーゼは

大切な人達を〝人質〟に捕られたあの頃から

言葉を奪われていたあの頃からの

手持ちのカードだった。

こちら側の正論を抱きながら、声を出せずに。

自分の道を奪われ、

大切な人達を傷つけられていた

あのじりじりと真綿で首を絞められる

気が狂うような苦しみと痛みの経験は

想像を絶するものだった。

それは、麻酔の副作用のような

僕の外側の、乾いた〝視点〟を創った。



-茜空

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