茜空

或いは。

或いは。

僕だけにしか

見えていなかったのだろうか。

僕は昨日。

大都会のビルの隙間で

一匹の蝶を見たんだ。

はっきりとは

わからなかったが。

白と黒の

ぼんやりと、

それでいて複雑で

神秘的な斑(まだ)らで。

その時間のビルの隙間の

光の加減で輝いているように見えて。

光と陰の境目を

ゆ〜らり。はらりと。

見たことのない

不思議な飛び方をしていた。

本当に。

なんのメタファーでもなくて。

それは

なにかの啓示のように。

なにかを知らせる前触れのように。

(勿論。何かを期待していたと言う訳でもなく。なにか。〝それはそういうもの。〟という力強さと説得力を持ちながらも。軽やかに。)

僕の前に現れた

神様がくれたような

そんな光景だった。


-茜空