茜空

差し込んだ光は

差し込んだ光は

部屋の反対側に向かう頃には

閉じた空気に馴染んでいた。

用意された椅子に腰掛けると

静寂に響いていた時計の音も

その概念と共に溶けて消えた。

目の前の机には果物が置かれている。

どこか懐かしい、埃っぽい甘い匂い。

視界が霞んで、遠退いていく意識。

暗闇に溢れ落ちる光、一雫(ひとしずく)。

滲み合っていく色。色。。色。。。

浮かび上がる渦巻いた点描。

色褪せた一枚の油絵になっていく。



-茜空