青空

少女の何気ない口笛が

少女の何気ない口笛が

真昼の月の欠けた方を

ピンボールのように撥ね廻った。

知らなくても良かったはずの

感じなくても良かったはずの

えもいわれぬ虚しい何かが

世界をすこし暗い色に包んでいた。

数多(あまた)の木霊(こだま)が背後から

両の肩に手を伸ばそうとしている。

青くて脆い魂が、

最強の兵器であることを知ってもなお、

なりだけデカイ臆病な大人は

銃口を憎しみへと向ける。



-青空