青空

乗り合わせた車両

乗り合わせた車両の床は

家路を急ぐ乗客の傘から

滴る雨粒で濡れていた。

車窓から見上げた空には

鈍色の分厚い雲が広がっている。

混み始めた車内は

学生達の笑い声と赤子の泣き声が響いている。

「何処に運ばれるのだろう?」

行先を知っているのは僕達自身なのに、

一抹の不安が胸をよぎった。



-青空