HOME > 星空 > 星空 三日月が滲んで 2022年7月3日 三日月が滲んで見えたから 僕は咄嗟に耳を塞いだんだ。 身体の中を届かない筈の 悲鳴が駆け巡り、 酷く混乱した僕は ただひたすら 深海魚になりたいと祈った。 あなたの意識の深い、深い 光の届かない海の底に潜んで、 ただひっそり泳いでいたかった。 あの日、キャンバスに落とされた 青い絵の具は もう乾いてひび割れている。 朦朧とした意識に絡み付いた 冷たい影を払い除けようと 右腕が闇雲に空を切る。 確実に イミガナイヨウデイミガアリ。 イミガアルヨウデイミガナカッタ。 そして、 僕だけが 残された。 Twitter Share Pocket Hatena LINE URLコピー -星空