茜空

テーブルの上には

テーブルの上には

黒糖飴の袋とリモコンが

無造作に置かれていた。

縁側の光、逆光線に包まれて、

本好きな彼女は、

ソファに座って、

本を読んでいる。

人間はもれなく

歳を取る生き物らしい。

横顔には白髪とシワと老眼鏡が増えたが、

昔と変わらず、真剣な眼差しで

懐かしい本を読んでいる。

その姿がとても愛おしく感じた。

この感情は年々、増してくる。

胸がいっぱいになった僕は、

「アメ玉、よこせ。」と

キスをせがんだ。

我ながら、キモいと思った。

丁寧に、拒絶をされた。



-茜空