茜空

イーゼルに

イーゼルにキャンバスを立て掛けて

風の色を探すように中空を睨む。

星と星とを結んで

占われた明日の記憶を

粉々に散りばめて

こぼれた溜息。

あなたは誰?

幻聴に支配された鏡の向こうで

セルロイドの人形が繰り返す

無機質な戦争。

流された血は

白い闇で華になり

心臓は脈を打つ度

冷たい薔薇の棘に締めつけられる。

制御出来ない約束という苦痛を

抱えて迷い込んだ時の迷宮。

太陽の下

盲目的に差し出され続ける

意味を持たない犠牲の数々。

あなたを愛しているという事実が

すべての自由を奪い去った。

理路整然とした柔らかな狂気が

僕の意識を塗り潰す。



-茜空