茜空

ぬるくなったコーヒーを

ぬるくなったコーヒーを

口に運ぶように容易く

悲しみを飲み込んだ。

どんな劇的な出来事もなく

ただ正常に時計の針が進んでゆく

健全な毎日。

ちょっとした合図を送る世界を

漂うように流されて生きている。

「ある」と「ない」の間を

行ったり来たり。

全て、幻。

完全なる白い闇。

そして途切れる意識。



-茜空