茜空

「過去にこだわるな。

「過去にこだわるな。

君が幸せになるためにも。。。

敵なんかいないんだよ。」

(そんなのわかってるよ。)

それはある意味、真実だ。

でも。

彼女をある一点で不幸にしたかもしれない、

そんな奴らの喉元に

僕の剣の切先が光っていて。

もうすこしだと言う時に発せられた、

苦し紛れの戯言(たわごと)だったらどうする?

そいつらが、

彼女を苦しめていたらって思うと。

彼女の翳りのある横顔を思い出してしまうと。

僕は、この力を込めた刃を

止めることはできないんだ。

その時。たとえ天秤の反対側に

どんな大切なものを載せられても。

愚かな。復讐の鬼と言われても。

僕は僕を抑えきれない。




-茜空